2010年8月7日土曜日

ループの神

「セピア色の凄惨」 by 小林泰三

してやられた、一本とられた!という感じの作品。

 ここに出てくる人達は本当に頭がおかしい。一本どころか何本もネジが抜けている。でも現実に存在してもおかしくない。特に「ものぐさ」の女主人公なんて、今世間を騒がせている大阪で二児を餓死させた鬼畜母そのものではないか!他にも、約束した女と違う女と間違ってデートし、そのまま結婚・子供まで作ってしまった男、過度な自傷癖の女、40tのだんじり曳きに命をかける漢たち、といずれも信じられないようで現実にはあり得なくない話のオンパレードである。そんな彼らの支離滅裂な話をつなぎ合わせ、最後でうまく落とす(帰るべきところに物語が帰ってくる)、この絶妙感、まさに神の領域である。
 氏の作品ということで少々グロテスクであるが、シュールな笑いを求める人、ちょっといっちゃった人たちの壮絶人生ループにはまりたい人、背筋をひんやり冷やしたい人にはおすすめの作品である。

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