2010年8月19日木曜日

"Corporate Warriors" P.W. Singer

この夏、読んだ中では最もインパクトの大きかった作品。
 Sub title に"The Rise of the Private Military Industry" とあるように、90年代以降(湾岸戦争以降)、戦争という行為、すなわち、兵士・兵器の供給、情報収集等一連の活動が民間会社(PMF)に外注されることがポピュラーになった。本書はこの新たなフェーズに関する現状分析を数社の事例を中心に展開する。私が購入したのは2nd edition(2007)であるが、これには初版(2002)に加えイラク戦争(2003~)におけるPMFの機能に関する考察を追補としている。
 経済の教科書などでも安全保障は道路・水道整備などと並んで市場性が低く、官でやるべきものと仕分けされてきた。が、軍事産業もその進化に伴い、技術・戦略・武器及び人材調達など根幹的な部分で民の力を借りざるを得ないフェーズに入ってきている。例えば、ペンタゴンは、MRRI、DFI、Logicon などのPMFに研修・アドバイザリーなどを委託している。
 驚くべきは、これらPMFと提携しているのは政府のみではない点。先ごろ原油流出で世間を騒がせた石油メジャー・BP をはじめとする民間企業、メキシコ麻薬組織・コロンビアゲリラなどの反政府組織などもPMFと契約し、独自の傭兵を囲っている。
 これらPMF台頭の背景には、冷戦終結による戦争形態の変容(国対国からイデオロギー闘争へ)、人材の余剰(元軍人、さらにはもと囚人なども傭兵に)、武器の余剰と民間流通ルートの開発、などが挙げられる。
 湾岸戦争を皮切りに、90年代国際社会を揺るがしたアフリカ諸国やバルカン半島での内戦、すべてにPMFが噛んでいる。とくに"EO"こと"Execute Outcomes"がシオラレオネ内戦で行った民間人虐殺は悪名高い。
 PMFには、3階層あり、前線に近い順に
 1.Military Provider: 〈代表例〉EO
 2.Military Consulting Firm:〈代表例〉MPRI (Military Professional Resources Incorporated)  
 3.Military Support Firm: 〈代表例〉BRS (Brown & Roots Service, 大手ゼネコンHalliburtonの一部門)
 と分けられる。それぞれの役割・強みがあるが、その境界はやや曖昧な感は否めない。
 PMFの課題としては、PMFと政治的権限あるいは政治的思想との結合/分離の在り方(戦災国復興までPMFに任せてよいのか、相反するイデオロギーを有する戦争主体に一会社が傭兵を派遣することの是非)、国の正規の軍とPMFとの連携不足(PMF=即席のため、軍の規律やオペレーションに従わないという不満)、PMFのインセンティブ(経済性=報酬だけでよいのか)のあり方、人権をめぐる諸問題などなど枚挙に暇がない。が、これら筆者が発していた警告が届くまでもなく、USはイラク戦争に突入、PMFの独自の発展に法整備・環境整備がますます追い付かなくなってきた、と追補で筆者は嘆く。
 歴史的には戦争行為により覇権を有したオランダ西インド会社(17C)などの例もあるが、このままPMFを野放しにしていくと、企業間の本当の意味での戦争、暴力による市場の支配、などという恐ろしい現実(これぞ資本主義の究極形?)が待ち受けているかも知れない。アメリカだけならまだしも、先ごろ日本を抜いて世界No.2になった国が本腰を入れようものなら…。

2010年8月15日日曜日

『幽霊座』 横溝正史

「幽霊座」「鴉」「トランプ台の上の首」の三編収録。
 いずれも戦後初期を舞台としており、歌舞伎がまだ庶民の娯楽だった時代の芝居小屋(「幽霊座」)や、隅田川沿いの家々にボートで惣菜を売って回る商人(「トランプ台の上の首」)など、古き良き時代の情景が浮かんでくるようで、昭和風俗史の語り部としても横溝正史は類いまれな存在であることを実感させられる。
 前二編はいずれも死んだと思った人間が生きていたトリック、中国の阿片窟や戦後の混乱など、当時の時代背景を隠れ蓑にしてこそ成り立つ物語となっている。さらに、「幽霊座」は犯人の少年時代からの異常な残虐性をも描いており、当時から少年犯罪というものが身近な社会問題であったことをうかがわせる。
 「トランプ台の上の首」は横溝トリック、というかミステリーの王道である「密室」「首なし」「身代わり」などのトリックをふんだんに使い、技巧的な極致まで小説を導こうという実験性が表れている。(氏は、世のミステリー小説は大まかに上述の3トリックに分類される、と、別の小説で語っている。半世紀以上前ながらかなり本質をついた指摘である)
 トリック手法、古き良き東京の風景、そして金田一耕助のヒューマニズムあふれる謎解き、と短編集ながら横溝作品の魅力がぎっしり詰まった一冊である。

2010年8月14日土曜日

アートとホラーの融合

『禁じられた楽園』 by 恩田陸
 アートとホラーの融合といえば、篠田節子の『神鳥(イビス)』がまず心に浮かぶが、本作もそれと同カテゴリーに整理される作品だと思っていただいてよい。
 筆者曰く、『パノラマ島奇談』の現代版を作りたかったということであるが、なるほど、途中までは映像化まで視野に入れて、非常によく練られた展開だと思う。若者たちの心に巣食うトラウマ(猟奇事件など)、サブリミナル、恐怖のビデオ、謎の財団からの資金供給など、現代風の素材を作者一流の技巧で料理し、エッシャーのだまし絵のごとき現代のパノラマ島まで、ハラハラドキドキさせながら読者を導く。が、最後がいただけない。なぜ、あんなマイルドな結末になるのか?それまでのゴシック的世界が最悪の形で一気に破綻する。無理矢理感がありすぎて、非常にもったいない作品になっている。乱歩へのオマージュを謳うなれば、その狂気の果てまで読者を導いてほしかった、というのが一読者としての見解である。むしろ、そこまでの狂気は持ち合わせていないなら、こんな挑戦はやめていただきたい。途中までの期待感と読後の失望感のギャップが非常に大きい作品である。

サケの遡上

BBCドキュメント“Great Nature”より。
 アラスカ、ブリティッシュ・コロンビアに毎年産卵にやってくるサケの群れと、それを貴重な食料として捕まえるクマの物語。
 春、冬眠から冷めたクマたちは、残雪の中、山を降りてくる。一方、サケたちは、同じころ、太平洋のはるか彼方から独自のコンパスでもって自分達の生まれた地への旅を始める。(脳内の鉄分が帰郷本能を手助けしているらしい) 両者の距離、約3000km。サケは、道中、シャチやオットセイ、サメ、ハクトウワシなどあまたの捕食者の餌食になる。さらには、気候や環境により(雨不足による酸素欠乏、水温上昇等)道半ばで死ぬ仲間も多い。一方、クマも雪山下山、オオカミの群れ、飢え、といった数多くの困難と危険を乗り越え、サケの上る川べりへやってくる。両者の対面ほぼ奇跡といってよい。クマとてサケを簡単に捕まえられるわけではない。数々の危険を生き抜いてきたサケたちは運動神経抜群、急な滝でも遡る筋肉とバネ(人間にしてみれば4階建てビルを飛び越える跳躍力らしい)は、小回りの利かないクマからどんどん逃げていく。ようやくクマの餌食となりうるのは、産卵を間近に控え、体力も消耗した秋口ごろである。逆にクマはこの時期に食いだめしておかないと冬を越せなくなる。(それまでやせ細って大きめの犬くらいの体型になっていたクマが、一気にクマらしい体型になるのもこのころ。)
 サケの中には、産卵後そのまま死んでしまう種類もある。それの死骸は、クマの食べ残しとあわせて、森の掃除屋(虫たち)にきれいに片付けられ、森林を成長させる肥やしとなる。そして森林は翌年もサケを迎え入れる。ちょうど今頃は、クマたちが遡上してくるサケをとらえようと悪戦苦闘している時期である。北の大地に根付く神秘的なサイクルである。

2010年8月13日金曜日

ミスター内調の回顧録

『日本のインテリジェンス機関』 by 大森義夫(2005)

 宮沢、羽田、村山、細川、橋本と5人の歴代首相に仕えた元内閣情報調査室長の回顧録。
 湾岸戦争、阪神大震災、オウムの一連の事件、ペルー日本人人質事件など当時のインテリジェンス的重大事件を絡めつつ、各首相の性格をも描写し、黒子に徹した氏の視座から見た時代そのものが垣間見れて非常に面白い。
 「インテリジェンスの前庭(フロントヤード)から」にはじまり「インテリジェンスの裏庭(バックヤード)から」で占める構成もハイセンス。
 「情報」とは「敵情報告」が由来という一説、モーゼの11番目の戒律「汝、見つかるなかれ」、なども初めて知った。また、諜報活動の基礎は新聞スクラップなどの極めて地道な作業(今であればネットでの情報収集か)であり、情報をいかに入手し有益に生成するか、というのがインテリジェンスに携わる者としての真骨頂であるとしている。
 本書を通じて、氏が伝えたいのは、決して自らの功績自慢ではなく、日本のインテリジェンスの未熟さへの憂慮。まず挙げられるのは、アメリカでは大統領と腹心があつまれば、そこが食堂であろうと、諜報会議が成立する("Kitchen Cabinet")のに、日本とくればヒエラルキー的手続きを踏んでトップ報告をせねばならない、その間にどんどん情報劣後になってゆく、というシステム的問題。併せて大きいのが、いわゆる「情報の専門家」不在により、情報そのものが官僚や政治家の “status quo”(現状維持)の道具として扱われる現状である。インドのRAWなどアジアにも優秀な諜報機関ができはじめていることを見るにつけ、北朝鮮問題や台湾問題、北方領土問題など近くに火種を抱えるなか、日本はこのままでいいのか、と大いに考えさせられる一冊である。

現代アートへの誘い

『現代アートビジネス』 by 小山登美夫(2008)

 富裕層の道楽として成熟してきた現代アートへの投資。Sotheby's や Christie's などの有名オークション、村上隆や奈良美智など世界的に有名な日本人アーティストの名前は皆さんも一度は耳にしたことがあろう。富裕層とは程遠い私にとっては全く未知の世界であるが、現代アート作品及びアーティストがどのように「流通」し、どのように「ビジネス」として成り立っているかを垣間見る入門書的な一冊である。

1.生産者(アーティスト)の立場から
 アーティストとて、自分の作品をいかに売り込むか(プレゼンテーション能力)、商業主義といかに距離を置くか、などビジネス的才覚が非常に重視される時代になった。(派手に宣伝広告し「コピーライト」を掲げる村上隆と、全くそういったものと無縁な奈良美智、と日本の両巨頭は対照的スタンス) また、いかに足がかりをつくるか、という意味でギャラリーに作品を扱ってもらうことを目標にするアーティストの卵が増えているらしい。小さなギャラリーから一歩を踏み始め、最終的には聖地 Gagosian Gallery(Leo Castelli が若手アーティスト発掘のために1957年にNYに開設した画廊)を目指す、いわば、地域の草野球チームからNPB、そしてMLBへ…みたいな職業人的感覚、後世での評価より現世での充足を重視する傾向か。

2.売り手(ビジネスコンダクター)の立場から
 若手アーティスト発掘の場はギャラリーだけではない。特に注目度が高いのが、多くのアーティストが一同に会するアートフェア。ギャラリーのみならずアートフェアの世界にもヒエラルキーがあり、スイスの「アートバーゼル」を最高峰として、日本最大級の「アートフェア東京」や無名の若手のみを取り扱うフェアなど数多く存在する。またアートフェアにはGoldman Sachsなど投資銀行のスポンサードが多く、富裕層と現代アートをマッチングさせる場としても機能している。こういったイベントやギャラリーを手掛けるキュレーター、ギャラリストなども現代アートの一翼を担う重要な存在である。(アーティストと言っても過言ではない)

3.顧客(投資家)の立場から
 一昔前までは、ギャラリーという閉じられた世界が主流であったアートマーケットも、前述のフェアやたインターネットオークションの誕生で敷居が低くなった。が、現実的に、アート作品は著名なギャラリーやフェアに出展、あるいはカリスマと呼ばれるコレクターが買いつけたことでそのブランド価値が高まる。そういう意味で現代アート発展の鍵を握っているのは一部の富裕層であることに違いない。バブル期の日本のような投機的買い漁りは市場にプラスに働かないことは歴史的に証明済み。今日、中東・BRICs諸国等の富裕層が、無名アーティスト作品を手当たりしだい青田買いしているという噂もある。彼らに望むのはアートを心から愛し、育んでいこうという態度。アートは一握りの人間に独占されるべきものではなく、広く人の目に触れてこそ価値が高まる、というのは古代からの普遍的事実。

4.日本の市場
 強み:オタク文化(Japan cool?)の浸透とそれを生み出した創造性、資金力
 弱み:批評性の希薄、国際的に有名な美術館の不在、税制・予算等財政的劣後
 機会:元来「美術館好き」な国民性(特に旅行先などで)
 脅威:中国・韓国などでの市場の勃興

2010年8月9日月曜日

NBA 2010以降

 Lebron Jamesの移籍先がMiami Heatに決まった。来季はMiamiにDwyane"Flush"Wade, Chris Boshといった03年ドラフト組の逸材が勢ぞろいし、間違いなく優勝候補の筆頭にあげられるどころか、この先数年はこの“新ビッグ3”を抱えるチームがNBAを引っ張っていくと見られる。
 にしても、今回のLebronの選択には不透明な部分が多く、旧所属のCleavlandのオーナーや監督は公然と彼を批判(「自己陶酔的で自己宣伝的」)、地元のファンも彼のTシャツを焼くなど過激な行動に走り、非常に後味の悪いものとなった。今回の移籍の異様さは、クラブの背広組を通じてではなく、Lebeonが自らの口から移籍先を発表する場をESPNがセットし、独占的に配信するというスタイルもひとつ影響している。斬新といえば斬新だが、さすがのアメリカにも受け入れる土壌は整っていなかった、というべきか。いわば、Lebronという銘柄がクラブのマネジメントを超えた存在であることを知らしめるための企画であり、「一介のアスリート(しかも伝統あるチームスポーツの選手)がタレント気取りか!」といった印象をもった人々が少なからずいたはずである。日本でいえば、例えば、ダルビッシュがフジのすぽルトが組んだ1時間特番で三宅アナあたりを相手に「日本のファンの皆さん、すみません。来年からメジャーに行きます、行き先はニューヨーク・ヤンキースです。」といったらどうだろう?応援する気になるだろうか?
 もちろん、アメリカと日本ではメディアの発達度も国民のメンタリティも違う。が、やはり現役アスリートのセルフ・プロデュースというのは非常に難しい。天下のESPNがついても、だ。今回のLebron移籍騒動は、今まで彼を支えてきた利害関係人を全く無視したという意味で、マーケティングの失敗例としてとらえるべきであろう。

日本相撲協会

 暴行致死、大麻、横綱の仮病に泥酔暴行、とここ数年不祥事のオンパレードである日本相撲協会。週刊新潮の記事を発端に、遂に裏社会とのつながりというタブーの域にまで捜査のメスが入った。しかし、今回の一連の騒動を見るにつけ、マスコミや関係者が「臭いものにフタ」の精神でひた隠しにしていたものが、内外環境の変化で表出せざるを得なくなったのに過ぎないのでは、という印象を拭えない。守られてきたものが、守れなくなる。それはジャンルそのものの求心力の低下、今回でいえば、大相撲のみならず裏社会の弱体化も一因にあるのではなかろうか?あるいは民間企業並にビジネスライクな裏社会が人気低迷で金にならない大相撲を切り離しはじめた、ということか…。もちろん、裏社会とのつながりは好ましくないし、何よりNHKでの相撲中継を楽しみにしているお年寄りや子供たちに顔向けができない恥ずべき事実である。が、大相撲の求心力低下が進行する以上、これからも不祥事はどんどん表出するだろうし、シノギの厳しくなった○○からの突き上げ(暴露)も増えることだろう。誠に残念ながら。それでも外部からの人材注入を阻止し、自分達の最後の砦、力士出身の理事長を必死で守ろうとする協会と親方衆、まさに沈没寸前のノアの箱舟である。

2010年8月8日日曜日

2010南アフリカ以降

 レギュラー11人中7人がバルサからだったスペインの初優勝で幕を閉じた2010のW杯。岡田監督率いる日本代表の躍進(大会前の期待値がかなり低かっただけに)にもびっくりさせられたが、相次ぐ強豪の早期敗退、スター選手たちの思わぬ不振、相次ぐ誤審など今大会も落胆と歓喜、驚愕の連続であった。
 クラブ関係者にとっては絶好の見本市であるW杯、今大会で価値が高騰した(と思われる)超人気銘柄と移籍市場の動きをピックアップした。

Luis Suarez, Uruguay, AJAX
 何といっても、今大会最大のヒーロー(ヒール)。vs. Ghana での「神の手」ならぬ「悪魔の手」でアフリカ中を敵に回した腹黒さ、泥臭さには組織化されたサッカー先進国が置き去りにした何かを見た気がする。AJAXはこの超人気銘柄に€40m(約48億円)の値札をつけ、噂されるメガクラブ(Man U?)を牽制している。

A. Gyan, Ghana, RENNES
 アフリカ勢唯一のベスト8の原動力となったFW選手。レンヌでも1トップを努め不動のエースであるが、今夏の移籍が確実視されている(行き先はプレミアか?)。レンヌのつけた値札は€20m(約24億円)。

Meust Ozil, Germany, BREMEN
 Aggressive and Diversified に生まれ変わったドイツ代表の象徴ともいえる同選手(トルコ系)。トップ下から切り込んでいく鋭さは圧巻であった。ブレーメンとは11年までの契約となっているが、レアルが狙いを定めているという噂も。

Thomas Muller, Germany BAYERN
5ゴールを挙げて得点王、さらには最優秀若手選手にも選ばれた20歳。すでにBayern というメガクラブに所属しているため、引き抜きは至難を極めると思われる。

Keisuke Honda, Japan, CSKA MOSCOW
  やはりこの男がいないと、と国民誰しもが思う日本の至宝。大会中は1トップという変則的起用にもかかわらず、その実力をいかんなく発揮。同じく世界に名を売ったDF長友、GK川島らとともに4年前には想像だにしなかった新生ジャパンの象徴的存在であった。ご存知のとおりMilan, Arsenal など引く手あまた。

 最後に…元来W杯といえば、大会アンセム的な音楽があるものだが(今回もShakira?)、今大会はブブゼラの音にすべて上書きされたといっていい。既述の誤審や強豪の早期敗退もブブゼラの耳にまとわりつくような音の影響が少なからずあろう。この民族楽器こそ今大会を通じての真の主役、全く恐ろしい鳴り物である。ちなみに、Arsenal, Liverpool など England Premier League の強豪クラブでは、いち早く今シーズンにおけるブブゼラ持ち込み禁止という対応にとってでたようである。




2010年8月7日土曜日

ループの神

「セピア色の凄惨」 by 小林泰三

してやられた、一本とられた!という感じの作品。

 ここに出てくる人達は本当に頭がおかしい。一本どころか何本もネジが抜けている。でも現実に存在してもおかしくない。特に「ものぐさ」の女主人公なんて、今世間を騒がせている大阪で二児を餓死させた鬼畜母そのものではないか!他にも、約束した女と違う女と間違ってデートし、そのまま結婚・子供まで作ってしまった男、過度な自傷癖の女、40tのだんじり曳きに命をかける漢たち、といずれも信じられないようで現実にはあり得なくない話のオンパレードである。そんな彼らの支離滅裂な話をつなぎ合わせ、最後でうまく落とす(帰るべきところに物語が帰ってくる)、この絶妙感、まさに神の領域である。
 氏の作品ということで少々グロテスクであるが、シュールな笑いを求める人、ちょっといっちゃった人たちの壮絶人生ループにはまりたい人、背筋をひんやり冷やしたい人にはおすすめの作品である。