BBCドキュメント“Great Nature”より。
アラスカ、ブリティッシュ・コロンビアに毎年産卵にやってくるサケの群れと、それを貴重な食料として捕まえるクマの物語。
春、冬眠から冷めたクマたちは、残雪の中、山を降りてくる。一方、サケたちは、同じころ、太平洋のはるか彼方から独自のコンパスでもって自分達の生まれた地への旅を始める。(脳内の鉄分が帰郷本能を手助けしているらしい) 両者の距離、約3000km。サケは、道中、シャチやオットセイ、サメ、ハクトウワシなどあまたの捕食者の餌食になる。さらには、気候や環境により(雨不足による酸素欠乏、水温上昇等)道半ばで死ぬ仲間も多い。一方、クマも雪山下山、オオカミの群れ、飢え、といった数多くの困難と危険を乗り越え、サケの上る川べりへやってくる。両者の対面ほぼ奇跡といってよい。クマとてサケを簡単に捕まえられるわけではない。数々の危険を生き抜いてきたサケたちは運動神経抜群、急な滝でも遡る筋肉とバネ(人間にしてみれば4階建てビルを飛び越える跳躍力らしい)は、小回りの利かないクマからどんどん逃げていく。ようやくクマの餌食となりうるのは、産卵を間近に控え、体力も消耗した秋口ごろである。逆にクマはこの時期に食いだめしておかないと冬を越せなくなる。(それまでやせ細って大きめの犬くらいの体型になっていたクマが、一気にクマらしい体型になるのもこのころ。)
サケの中には、産卵後そのまま死んでしまう種類もある。それの死骸は、クマの食べ残しとあわせて、森の掃除屋(虫たち)にきれいに片付けられ、森林を成長させる肥やしとなる。そして森林は翌年もサケを迎え入れる。ちょうど今頃は、クマたちが遡上してくるサケをとらえようと悪戦苦闘している時期である。北の大地に根付く神秘的なサイクルである。
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