2009年12月19日土曜日

海上のブレアウィッチ

“Open Water” (2003米)
 舞台は恐らくカリブ海。バケーションでスキューバを楽しみに来たはずの夫婦が、引率者のミスで海のど真ん中に置き去りに。。。実話に基づきながらも、低予算で恐怖の極限をリアルに表現する作風は、“The Blair Witch Project"(99米)を彷彿させる。
 恐怖の最大の要因はサメ。決してJawsのような大型のホオジロザメが出るわけではなく、中型のサメ(ネズミザメ?)が2人の周りを不定期的に徘徊し、時に攻撃を仕掛けてくる。そのジワジワ感といつ襲ってくるかわからない恐怖が2人を追いこんでゆく。そして、体力の消耗。水温により体温を奪われ、昼間は太陽に照りつけられ、夜は雨に打たれる、更にはどちらが陸方向がわからない、という過酷極まりない環境の中で、いかに生への希求を見出すか、というのもこの作品の柱である。圧巻はラスト10分。夜の嵐の海でサメに襲われる恐怖を、稲光によるフラッシュ映像と音声のみで表現する、そして朝になってようやく捜索部隊が動き出したが。。。南米の奥地をイメージさせる暗い民族音楽調のBGMが切なさを増幅させる。
 こんなにも、家のリビングでくつろいで見ていることに罪悪感を覚える映画はそうそうない。

2009年12月12日土曜日

闇金くん

 以前にも登場した『闇金ウシジマくん』。
 entry 「最近の漫画」
 今年のスピリッツでの連載の大半を占めた「楽園くん」編が遂にエンディングを迎えた。ファッション雑誌の読モになる、という刹那的な夢を追って都心に出てきた若者の波瀾万丈記、なんとも甘酸っぱく切ない幕切れであった。終わってみれば個人的には「フリーターくん」「サラリーマンくん」に匹敵する名作・大作であったと思う。毎週の漫画誌発売日を楽しみにするなんて中学時代以来のこと。主人公・センターTこと中田君に触発されて、マジでオシャレな服でも買ってみようと思ったのも何年ぶりだろうか(本当、いい年して馬鹿な自分)。そしてこの2009年、クサナギ、のりピー、押尾、市橋らがお茶の間の主役となった現実と微妙にシンクロしながら進行していくという奇跡のような展開も面白さに拍車をかけたことに違いない。(実際、事件直後の連載でクサナギを揶揄したリリックが出てきたのには笑った)。婚活詐欺女なんかにしろ、以前のこの漫画でデジャヴ的要素満載だし(肉まんま?)。本編を通じて感じたのは、以前と比べて人間味のある登場人物が増えたこと。悪役も以前よく出てきた理解不能のアウトロー、というだけではなく親しみある人間を「ちゃん」づけし、時には弱みも見せて「こいつ、実は面白い奴では?」と思わせるいかにもいそうなタイプになってきている。よりリアリティのある話に仕上がった、というのは決して現実とシンクロしただけが要因ではない。作者がストーリー、人物描写とあらゆる面で円熟の極みに達した証しでもあろう。
 そして今週からいよいよ始まった新シリーズは、その名も「闇金くん」。ここ最近、狂言回しに徹していた本来の主人公・ウシジマが久々に物語の中心となる。ゲームでいえばラスボス登場、この漫画もいよいよ終焉に向かって動き出したことを告げるオープニングであった。また、毎週月曜を楽しみにする生活がしばらくは続きそうだ。

2009年12月7日月曜日

電子マネーの今後

 Edyでお馴染みビットワレット社。ソニー、NTTドコモ、トヨタ、三井住友など複数社の出資により成り立つ同社が、この度、楽天の連結子会社となることになった。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0911/05/news071.html
 2001年のサービス開始以来9期連続赤字。2009年3月期も57億円の赤字を計上(2008年3月期の同68億円より改善したとはいえるが)。累損は380億円、第三者割当増資の繰り返しにより膨らんだ資本金は393億円。早晩、行き詰るであろうといわれた電子マネー最大手。今回のdealはまさに救世主登場ともいえるが、現筆頭株主であるソニーによっては、自社のFelicaが電子マネー業界でも汎用性のあるプラットフォームとなった今、Edyの手放しは厄介払いともいえよう。
 
 では、なぜこんなに巨額赤字を抱えることとなったのか?赤字額が過去最大となった2008年3月期の内訳を見てみると、売上高41億円に対し、営業費用92億円。売れば売るほど赤字となる負の構造が見てとれる。費用の多くはシステム開発費と新規店舗開発費であろう。同じく電子マネー2番手、3番手が交通インフラや小売といった決済基盤を抱えるのに対し、メーカー主導のEdyはdisadvantageが大きい。例えば機器一体設置に10万円かかった(かつては本体だけで30万円)として、それを回収するには、手数料2%と仮定して、Edy決済で500万円の売上が必要。街中でよく見かけるようになったように見えるとはいえ、電子マネーによる決済率はせいぜい全売上の2%程度。単純計算で設置店舗の売上が2.5億円に達したところでようやく10万円の導入費をペイ出来るけことになる。実情は異なるであろうが非常に非効率なビジネスモデルであるといえる。電子マネーが今後生き残るには使用率の拡大、ハード・ソフトの低コスト化は必至である。



【参考】
http://www.nec.co.jp/finance/feature/review080601.html
http://card.benrista.com/essay_card167.html

2009年11月17日火曜日

King is on the stage

少し古くなったが、“This is it”。
 決して涙を誘う類の映画ではないと思う。ただ半世紀にわたり人類へのGiftとして実在したMichealという生命体のもつエネルギーに圧倒される。映像は、淡々と死ぬ直前のMicheal Jacksonのリハの様子を追い続ける。往時の名曲が2009年風にアレンジされ、パワーアップしてスクリーンに再現される。(PVのセルフ・リメイクは斬新。“Thriller”, “Beat it”, “Smooth Criminal”...数々の歴史的PVを残したMJだからこそ成り立つモデルか)
 まさに、前宣伝にあったように、MJのショーを最前列で見ているような贅沢さ、しばし死者と生者という境界、そして勘繰りを完全に忘れてしまう。そして、いい味を出しているのが、幻の“This is it” Tourに参加予定だったクルー達。厳しいオーディションを勝ち抜いた者、以前からMJから見初められていた者(金髪の女性ギタリスト too cool!)、ゲスト参加の者、それぞれの立場でリスペクトするMJのショーを精一杯盛り上げようとする。完璧主義者であるがゆえ、時には厳しくスタッフに意見するMJ。そんな自身の言動によって場の雰囲気を壊さないようにフォローするMJのひと言が最高である。 “I'm not angry. It's love." 

2009年11月6日金曜日

遠ざかっていくミステリー作家

「ダーク」by 桐野夏生
主人公である女探偵・村野ミロはじめ登場人物のすべてに共感できず。
 「水の眠り 灰の夢」に端を発する村野シリーズの最終版となる本作であるが、ミロの父である村野善三(新聞記者からヤクザの事件屋になった男)が他界、父殺しの嫌疑をかけられたミロが追われ、偽造パスポートまで作って韓国に逃亡、そこでキメ・セックスや偽ブランド商に手を初め、日本人の商社マンにレイプされ、だんだんとアンダーグラウンドの深みにはまっていく、というのが大まかなストーリー。
 行動はすべてにおいて過剰であるが、心理描写が貧弱ゆえ、その行動原理が全く理解不能(例えば、急にレイプされて出来た子供を産みたいという下りなど)である。「OUT」や「柔らかな頬」のような作品はもう描かないのであろうか。これはごまんとある読み棄てノワール小説、即ブックオフ行き決定。

2009年10月11日日曜日

名駅高層ビル群の下で


 中川運河より名駅3タワーズ+1(タワーズ、ミッドランド、スパイラル&ルーセント)を臨む。
 名古屋駅から名古屋港までを結ぶ中川運河は名古屋の水道脈といっても過言ではない。沿岸には町工場や倉庫、ロジセンターが数珠つなぎに並び大小のトラックが行きかう。そして、川面にはときどきニシン科のコノシロが飛び跳ねる。数十年は続いているであろう工業都市・名古屋の日常を見守る中川運河。その中川運河のコノシロが先ごろ(10月8日直撃)の台風18号の影響で大量死したらしい。報道によると、増水により川底のヘドロが巻き上げられ、酸素不足で約1万匹が死んだらしい。タフな環境にもかかわらず、高層ビルを見上げ逞しく生きる当地区の企業群にどこかしら通じる存在だっただけに非常に残念である。

2009年8月31日月曜日

Change in Japan

On Sunday, Japanese voters saw a historic change in the government.
The current ruling party Liberal Democratic Party was completely beaten by the opposition, Democratic Party of Japan. Surprisingly enough, even the current ministers were to be replaced by new candidates from DPJ in many districts. Also those candidates who renewed the LDP by their youth and passion at the last election supported by the former Prime Minister Juniciro Koizumi has mostly rejected in their districts.
It seems to be unavoidable that Prime Minister Taro Aso steps down from this post. On a TV show, he commented that the result of this election reflects dissatisfaction and distrust towards LDP piled up for a long time.