2009年3月22日日曜日

WBCは果たして?

 日本中が歓喜の渦に包まれたWBC。原監督もイチローも結果が出てホッと胸をなでおろしているところであろう。松坂、岩隈、杉内、青木、中嶋、内川...彼らのプレーには風格と凛々しさがあり、本当に素晴らしかった。肝心なところで打たれたダルビッシュも、この経験を機にさらに大きくなって4年後帰ってきてほしい。
 さて、このWBC、興行的面から見ていかがであったであろうか。
 まずはシステム。今回、日本が韓国と5度対戦したことに象徴されるよう、リーグ編成若しくはトーナメント組み合わせの偏りが顕著である。さすがに4度目の対戦あたりでは「また韓国か」と辟易したファンも多くいよう。一説には米国が有利に進めるよう日・韓・キューバを予選ラウンドで固めたと云われる(カストロ前国家評議会議長)が、そのような思惑がなくとも、今回のような対戦相手が偏る編成は興行的に盛り上がりに欠ける。MLBやNBAの地区優勝制がベースになっているのであろうが、世界一を決める大会ではワールドカップ形式のシャッフル制の方がより多彩な組み合わせを楽しめて見る側には面白いであろう。そして、球数制限。多くの投手を見られるというのはメリットかも知れないが、ひとつのconstraint が増えるというのはやる側にも見る側にもストレス。MLB開幕前というのを気遣い過ぎた変なルール、としか映らない。次回には撤廃されていることを望む。
 次に開催国及び参加国。今回も前回同様、米がホストとなり、決勝ラウンドは由緒あるLAのスタジアムで行われたが、この構図は保たれるべきである。(この舞台で決勝をやることに意義がある、と思う。)予選ラウンドは地域シャッフルであれば今回4強の国あたりがホストするのが妥当かと思われる。参加国は今回の16ヶ国から次回は24ヶ国に増えるそうだが、どの国が新たなメンバーになるのか興味深い。もともと野球の認知と各国のレベル向上がWBCの使命だけに、あまりにレベルの低い国を寄せ集めても興醒めだし、かといって現有勢力だけでは拡がりを持てない。(格段に進歩している中国やまさかの1次予選突破のオランダあたりにそのヒントはありそうだ。)
 4年後の2013年は五輪での種目から外れ、いよいよWBCが真の意味で"Classic"となれるかの試金石(いわずもがな日本二連覇の価値を高める大会)、MLB機構をはじめとする主催者の本気を見てみたい。
 

2009年3月20日金曜日

理想の一日

Weekdayの会社帰りにジムに行く。
すぐ実行できそうなのになかなか出来なかったことが実現。
(5年ぶりくらい?)
春の陽気、自転車通勤、体調の回復と仕事環境の変化。
全ての条件が完璧であった。
久々に充実したノー残業デーを過ごした。
問題は継続できるかどうか。

2009年3月9日月曜日

ありがとうラン

あれから一年。
 名古屋にQちゃんが帰ってきた。去年のような苦悶の表情ではなく満面のさわやかな笑顔を携えて。「高橋尚子 ありがとうラストラン」と謳われた今年の名古屋国際女子マラソン。レースはスローペースながら、終版での順位の入れ替わりもあり見ごたえはあったと思う。優勝は長身の藤永佳子(27、資生堂)。何度も先頭集団に引き離されながらまた食らいつく粘りの走りであった。
 そして、高橋尚子42.195kmずっと笑顔を絶やさず沿道のファンに手を振りつつ、3時間を切るなど、人間業ではないと思う。この人は、走るために生まれてきた人。これからも笑顔を絶やさず市民ランナーの星になってほしい。勇気をありがとう。

2009年3月1日日曜日

墜ちゆく人生の三重奏

「忌憶」 小林泰三

 学生時代からの知り合い、藤森直人・三輪博美・田村二吉それぞれを巡る悲惨な物語。
 一作目「奇憶」における藤森直人のダメ人間ぶりはかなりインパクト強い。が、パチンコにおける景品交換制度の考察(筆者特有のプチ・マニアックな世界が展開されている)を見るに、彼は決して頭の悪い人間ではない。が、何かにつけて無計画・快楽主義的な性癖が彼を悲惨な結末へと導くことに。ここにチョイ役で博美と二吉を登場させ後二作の伏線を作り、本書は見事、連作オムニバスへとステップ・アップする。
 二作目「器憶」はさほど斬新さはない為、割愛させていただく。
 三作目は映画「メメント」を活字化し、より思考的要素を取り入れた意欲作。時系列的には一作目の結末からの続きであるが、藤木の悲惨な末路を上回る悲惨な人生を強いられる二吉のカオスぶりには同情を禁じ得ない。「メメント」を見た方ならわかると思うが、もともと論理的に破綻した設定を主に据える物語は非常に難しい。が、そこに果敢に切り込むのが、かつて「酔歩する男」や「海を見る人」で読者を量子力学とエンタメの融合の世界に導いた小林泰三にほかならない。そして、そこに事物の本質をさりげなく折り込むのも、小林泰三その人である。二吉が最後、常人以上の集中力で理路整然と考えを整理した中に散りばめられたフレーズ「人間とは記憶の集積」、そこに本書の真実がある。