2008年9月30日火曜日

Lessons Learnt

 歴史に長く記憶されるであろう2008年9月。(まだongoingではあるが)$700B Bailout Plan は否決され、US政府も梯子を外すことがあり得ることを示した9月29日、Wall StreetはAnother Black Monday (1987年10月以来のみならず、この9月で2度目の、という意味を込めて)を体験した。
 なんでもFRBの手持ち資金はわずか$300Bと噂され、最低でも$700Bは必要という金融経済再建にどこが支援できるのかが現在の焦点である。昨年来市場を席巻したSWFは、今のところ今回の危機には傍観者の立場を貫いており、また高い授業料を払わされた直後、積極的に支援に回るとは考えにくい。彼らとて、例えばMerrillに投資したはずのTamasek(Singapore)やKIA(Kwait)、韓国は、投資先がBoAになってしまったのは寝耳に水であろう。
 Warren Baffettがかつて「金融大量破壊兵器」と揶揄したデリバティヴ商品の数々が、まさにその猛威を示し始めた、というしかない。そしてかのBaffet氏はFRBよりも頼れるThe Last Investorとして、GSに$5B投資するなど、この機に乗じてその名声をさらに高めている。(投資銀行のようないわゆる“虚業”嫌いで有名な氏であるが、曰く、「GSの頭脳を買った」とのこと。)
 今、Wall StreetでおこっているのはSystemic Riskそのものであり、これまで市場を支えてきたBISやVaRも見直しせざるを得ない時期に来ている、すなわち投資銀行とういうビジネスモデルの再構築は免れないというのが大勢の論調である。再構築にあたって、(現在進行中の)銀行との合併がいいのか(預金という資金源を運用できるメリットあり)、はたまたヘッジファンド型の切り離しがいいのか(最適規模の模索、AIGの例などから資産1兆円規模の企業のmanagementは無理があるとの見方)論の分かれるところではある。投資銀行といえば、ITと並んで90年代以降のUS経済の花形、そのビジネスモデルの崩壊は、日本でいえば自動車業界が倒れたクラスの衝撃といっても過言ではない。
 そして今、問うべきは、思うに、①リスクの再定義(多様化によるリスク分散というFinance理論は個々の相関性が密接になった今、再構築しなければならないであろう)②立ち直りまでに何年続くか(日本は10年かかったというのが、何かしらのBenchmarkになるであろうか)の2点に尽きる。
 暗黒の9月をおさらばして、10月は光を一筋でも見たいものである。

2008年9月23日火曜日

神々への反逆

「リスク」 by Peter Bernstein (1998)
このタイミングで読むことに意義がある書。
最終章でも触れているとおり、「偶然の支配から世界を解放する」すなわち「サイコロを振る手」を支配することが本書に出てくる英雄達の動機付けである。自然は繰り返す傾向を持つがそれは不完全な繰り返しであることの意味を理解しようと努力した男たちの物語である。

 まずは、ケインズ。確率理論の先人達が使った「事象」という用語の拒否(予測が過去の発生頻度に依存しているニュアンスを嫌って)、代わって「命題」を多様。将来とはより能動的判断に依存したoutputであり、「不確実性」こそが新しい経済理論の中核と唱えた彼は、古典学派とも「レッセ・フェール」(自由放任主義)と真っ向から対立した。彼の提案は1936年の世界情勢に確実にマッチしていたといえよう。

 次いで、(一気にとんで90年代になるが)カーネマンとトヴァスキー。彼らの最大の功績は利得に関する意思決定と損失に関する意思決定の非対称性を行動心理学的アプローチから発見したことである。

 かように、確率論に人為的側面を取り込んだ後もなお、我々は以下2つの問題から逃れられない。
 ①過去は将来に対して脆弱なガイド役でしかないこと。時期もまた重要。
 ②成功する戦略は短命である、ということ(いわゆるFree Rider Problem)

 他方、実社会では、80年代のPortfolio Insurance~株価の下振れに対して自動的に売りをかけるリスクヘッジ的プログラム。市場のLiquidityを過信し、Volatilityを過少評価したがために、87年10月19日ほぼ無に帰した~を経て、90年代はDelivertiveの時代となるわけだが、その本質は不確実性の軽減にほかならない。が、市場の過熱とともにVolatilityを制限するのではなく、その部分で賭ける方向に走った(Subprimeに象徴される)のが現在に惨事に繋がっていると思う。Delivertiveに関しては、「剃刀のように髭をそることもできるし、自殺することもできる」というFT誌コラムニストの言葉以上にうまく言い表した表現は思いつかない。が、今回の失敗を機に、資産の安全化と同時に金融工学のさらなるInnovationを図ることは非常に大切である。く誰もリスクをとらなかったら、自由経済市場は衰退していく一方なのだから...(Alan Greenspan)
 
  最後に、筆者は、確率の基となる人間の合理的行動は、確率を考慮して判断するという規範をもとにして成り立つとしめくくる。このような状況下でも過去のデータを冷静に分析し行動することが大事ということであろう。
 
 (メモ)分散によるリスク回避は一気に損失するリスクを回避するためでしかない。

2008年9月22日月曜日

ヨーロッパとは何か

 20年近く前の著書。随分と大風呂敷な命題である。確かに、本書の上梓後、世界の様相、とくにヨーロッパ周辺のは大きく変わった。今や「ヨーロッパ」は単なる地名を超えて境界のない運動体・融合体というのが実態である。
 ヨーロッパに対する私の疑問は、なぜナショナリズムがあれほど強いのか、その一方で、なぜ外へ外へと向かおうとするのか、この相反する二面性に尽きる。(裏表紙にある「分裂と統合」の原因を探るため)この「分裂と統合」に加え「中心と辺境」の視点から本書をおおまかにおさらいしておきたい。

①分裂と統合
 啓蒙主義とロマン主義、エリートと農奴、キリストとイスラム(そしてユダヤ)、アングロ・サクソンとラテンそしてスラブ、イタリア趣味とフランス趣味(そしてたまにスペイン趣味)、王制と民主制、ヨーロッパの抱えてきた数々の対立軸と歴史的転換点(宗教改革、市民革命、産業革命etc.)にそのヒントを垣間見ることができる。教会・赤十字などの価値観がフレームワークだったヨーロッパ社会に国家(State)と国民(Nation)による統合が実現したのは、ほんの19 世紀末ごろである。そのころには、全ての文化は普遍的であり、かつ少数の者に専有されるべきものである、というヴォルテール的価値観(啓蒙主義)は批判にさらされ、逆に民族的個別性こそ武力をもってして擁護すべきものであるという考えが根付くようになっていた。(このnationalismの源は、キリストの「聖」性、哲学的思考、コスモポリタン的価値観ひいては普遍性を助長する科学や芸術の否定などマイナス面が非常に多く歪んだものと評価せざるを得ない)
 ただ、対外的に抜きんでようとすれば、隣国に戦闘を仕掛けるか、第三世界で支配を強めるしかなかったヨーロッパ諸国にとって、2度の世界大戦 による疲弊とアメリカのヘゲモニーは、国としてのidentityと同時に諸国間の連帯の強化という新たな命題を課され、今のヨーロッパ統合に繋がっている。
 
②中心と辺境
 かつて、とある国(スウェーデンだったか?)のModern Art Musiumで"The Center of Europe"なる前衛フィルムを見た記憶がある。カメラはヨーロッパの中心を探して旅を続けるが、最後に着いたのはロシアのとある郊外の町であった、というフィルム。当時は意味不明であったが、この本を読むにつけ、さもありなんという気もしてくる。ヨーロッパと非ヨーロッパの境界は常に流動的であり、また、ヨーロッパの定義によっても変わってくるものである。本書では17C初頭は南北方向の国々(教皇領・ヴェネツィア・西・仏・ポーランド・神聖ローマ帝国)がヨーロッパの命運を司る列強だったものの、宗教改革を契機として、磁場が南から北に移動、18C末には東西方向(英・仏・普・墺・露)に列強が固まったとしている。いずれの場合もフランスを中心としている点がポイントである。20世紀を経て、その中心軸は徐々に東へ移動していくのであろうか。

 アメリカの台頭とロシアの近代化はヨーロッパ近代化の副産物である。また、エリート層の啓蒙主義から労働者層のロマン主義へのシフトとその融合なども興味深いサイドストーリーである。

2008年9月19日金曜日

Wall Streetの危機Ⅱ

 破綻寸前とまで言われていたAIGに公的資金の注入。金融不安の拡大を阻止すべく、FRBが動いたとのいうのが大方の論調であるが、まさに「世界が変わる」きっかけとなるかも知れないこの激動の一週間、今一度、論点を各識者の見解を交えて整理しておこう。

論点① 片やBear, GSE(言うまでもなくFreddieとFannie), そしてAIG。片やLehman。救済されたものとそうでないものの、OK/NOの基準は何か。Bernanki と Paulsonの独断で決められているのか?(AIGのCDSの最大のcounter part はGoldman Sachsとの噂も)当然3月のBear破綻時と現在では(US財政や世論の)様相が異なるのは理解できる。が、同じ週でも、金融機関にmoral hazardを示しつけたLehmanへの対応と、及び腰的なAIGへの措置(まさにtoo big to fail的扱い)を分かつものは何か?USらしからぬ一貫性のない決定に当局の混乱ぶりが窺える。

論点② 次はどこか?投資銀行の将来は?5大証券のうち3つが一年足らずで姿を消す異常事態となったWall Street。残ったGSとモルスタも現在の業務Scopeの維持は困難という見解が多い。Wall StreetのみならずUBS等、欧州でも大手を取り巻く環境は非常に厳しい。すでに投資銀行がOut of dateな業態なのか。今後はMerrillのように買収されて大手One Stop Serviceの一部門となるのか、Hedge Fundのように特化するのか。いずれにせよ、市場のルールはこの9月をもって書き換えられたといってよいであろう。

論点③ US中心資本主義経済の終焉か?それとも世界恐慌の始まりか?かの、Alan Greenspanをして「百年に一度」と言わしめた今回の一連の出来事。確かにlame duck期にUSにとっては弱気になる材料でしかなかったかも知れない。が、それに代わる国・経済圏がないのも事実。いくら資源国が台頭しても消費国がないと回らないし、いくら人口大国が伸長しても巨大な雇用先がないと持て余すであろう。とりあえずは、しばらくはこの悪い波に乗せられるしかない、というのが大方の見解であろう。

参考:The Economist "Nightmare on Wall Street", Businessweek "Wall Street Perfect Storm" etc.

2008年9月15日月曜日

Wall Streetの危機

 Lehman Brothersが遂にCh11申請、そのLehmanのWhite Knightになるのではと噂されたBoAは一転、Merrill Lynch買収で合意、また生命保険最大手のAIGがNY連銀につなぎ融資を要請するなど、激震のWall Street周辺。今年のはじめ、米5大証券会社のうち、3つ(Bear Sterns, Lehman, Merrill)が年内に姿を消すなど、どれだけの人間が想像し得たであろうか?他にも、Fannie Mae とFreddie Macが事実上国有化状態になるなど、サブプライムに端を発した米経済破綻のシナリオはすでにOut of controlの様相を呈してきた。ちなみにLehmanの9月12日現在の終値は$3.65と年初の95%近く下落。(Merrillは▲68%、AIGは▲79%と共に危機的状況である) 
 生き残る者にとってはいかにEquityを売り払ってCashを手に入れるか、が今後の焦点。(AIGなどはわずか3、4日の延命措置を必要としている) 従業員らは紙屑同然となったStock Optionを手に、何を思うか。。。

2008年9月8日月曜日

Mind Map

 無味乾燥なノートを取るのは脳にとって悪、カラフルでインパクトの強い絵を描いて何事も楽しもう!それを可能にするMind Mapは記憶も刺激し、組織を活性化し、人間活動のすべての基本になりうる、という一見「本当か?」と疑いたくなるような本。しかしながら、HPなど一部企業ではEducation Programとして組み込んでいる例にある、
 当書によれば、何事もチェーンのように関連付けて学習することが「脳力」upのキーであり、そうやって描かれた脳内図式"Mind Map"は人生における選択、タイムマネジメント、試験、プレゼン、交渉等あらゆる場面で活躍する。("radient thinking"というmind setが必要)
 試しに私も自分自身のこと、自分の伝えたいこと、仕事上の職責、将来に向けてすべき事柄などを脳内図式に変換して表現してみた。(仕事による収入が全ての潤滑油という少し悲しい結果が...)慣れ使いこなすにはもう少し時間が必要と思われる。

羽衣伝説


 天女伝説の本家本元、静岡は三保の松原へ。天女にまつわる伝説は、浦島伝説同様、千葉の館山、丹後半島など全国に数多く点在するが、「新日本三景」のひとつでもある三保の松原の静寂さと美しさは、見る者にさもありなん、という思いを抱かせる。
 海と山に囲まれた自然の宝庫・静岡。こと静岡ICから清水周辺にいたる海岸道路の美しさは印象的である。