2008年4月16日水曜日

ノンフィクション書評1/4

この半月ほど読み溜めた4冊をひとつずつ。
 うち3冊が裏社会関係ドキュメントもの。暴対法・90年代の商法改正(総会屋への死亡宣告)により地下水脈化・尖鋭化したといわれる経済ヤクザ。JASDAQ市場をはじめとする新興市場の低迷ぶり、スルガコーポ事件に代表される地上げの復権、などトリガーとなった要因はいくつかあるが、この時期に興味をもったのはなぜか、そしてどこへそれを生かすべきか、現在考察中である。
 興味を持った理由としては、まず根っからのスキャンダル好きであることがあげられる。どういう立場で書かれたものであれ、内情を知る喜びという快感を味わいたい生理的欲求である。第二に、景気の踊り場と言われる今、ここ数年の景況を分析・総括したい、ひいては歴史からの検証を試みたいという(あえて言えば)知的欲求がある。最後に、これはすべての活動に通じることであるが、事物の本質を知る、換言すれば真贋を見極める目を養うという、知恵的部分での必要性を挙げておきたい。

 前置きが長くなったが、初回は『戦後60年史 9つの闇』(有森隆+グループK 講談社α文庫 2005)
 主に、経済事件・事象の中心人物にスポットを当てたいわば20世紀裏人物伝。児玉誉士夫・伝説の相場師・総会屋など昭和の時代の魑魅魍魎から、ここ数年の趨勢の逆転、西武・UFJ・三菱自動車など旧体系の企業が落ちていく一方でITベンチャーと外資ファンドの勃興、と戦後60年の日本資本主義をやや浅く、しかしながらエンターテインメント性高く総括したのが本書である。いわば闇社会・裏社会への入門書的位置づけ。本書で取り上げられる人物は大きく2パターンに分けられる。
①戦後復興期あるいは青年期に並ならぬ苦労を経、それを心に刻み這い上がってゆく者(例:児玉誉士夫) 
②幼少から英才教育を受けレールに乗ってビジネスの世界に入ってきた者(例:堤義明、森稔・森ビル社長) 
その中で塀の中に墜ちた者は、どこかでたがが外れ、次第に金が金を生むシステムに溺れ闇に堕ちてゆくパターンにはまっている。それが企業のトップであれば、企業理念と経営者のエゴがどこかで逆転、肝機能障害を起こしたところで、内部告発により不祥事をあぶりだされるパターンが多く見受けられる。その点、時を同じくして出てきた外資系ファンドはまさにその間隙を突く形で、コンプラ・株主重視という守りの部分を徹底的に固め、落日の重厚長大産業の資産を底値で買い漁っているという構図が本書を通じておぼろげながら見えてくる。

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