2008年1月31日木曜日

ウルトラ・ダラー

『ウルトラ・ダラー』手嶋龍一(2006)

 偽札、Money Londering、拉致、巡航ミサイル、英・露・マカオ・北朝鮮・英とスケール大きくスピーディな展開で、かの高村薫『リヴィエラを撃て』以来のインテリジェンス小説の名作。
 リヴィエラが愛と忠誠に生きる個々の人間に光をあてた物語であったのに対し、監視カメラで技術者のパスワードを盗む、偽札に無線ICタグで追跡を試みるなど諜報戦のよりTechnicalなDetaiの描写lこそこの小説の真骨頂。
 他方、Inteligence Officerである英国籍のスティーブンが篠笛を嗜み、日本の洋食店や函館イカソーメンに舌鼓を打ち、やたらと普段使いではない日本語表現を好んで使う姿が滑稽でもある。 
 にしても、これほど切れ者ぞろいの小説を、暗礁に乗りかけた北朝鮮問題という現状にリンクさせるべく、最後は個人的背景の問題に帰結させたのは筆者の苦肉の策か。

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