2008年12月31日水曜日

最大限の寛容と忍耐

「死の棘」by島尾敏雄読了。
 一度はそのあまりの暗さに挫折したが、再度読んでみても非常に気が滅入る小説である。時には、主人公(=筆者)の妻の言動に腹わたが煮えくりかえりそうになる。が、確実に得ることのある小説である。
 そもそもこれだけ妻にやんや云われると、離婚こそが今日的には最も全うな選択肢に思えるが(最悪どちらかの死という結末もありうる)、それを敢えて選ばない筆者のは愛の深さか。
 昨今では、仕事でも家庭でも神経をすり減らさないためのマネジメントに重きが置かれているきらいがあるが、この小説のように正面から向き合うことによって愛や自分のやりたいことを確かめることも人生に悔いを残さないひとつの手である、ということを諭してくれる書である。(非常にリスキーであるが…)

2008年12月30日火曜日

冬の旅




箱根:
駅伝直前、各校の応援垂幕が季節感を誘う。にしても、この坂道を駆け上がるのは若さのなせる技か。その地形の不利さを逆手にとったヒットである。風光明媚さを求めるなら成川美術館が一押し。(平山郁夫や山本丘人の貴重な収蔵有)
伊豆:
 何でも観光資源にしてやろうという貪欲さには感服する。猫の博物館、昭和の少年雑誌系記念館、ロウ人形館、絵本美術館、バリ料理...一見この場に必然性の感じられないB級ミュージアムが所狭しとひしめく。が、よく考えればこれはこの地の集客力を逆手にとってのこと。ここに遊びに来る都会人の、パッと散財したくなる衝動を見越して、その受け皿を作っているにすぎない。ここ数年のキーワードである「安近短」の代表格であるこの地は、最先端の「ハレ気分」のマーケティングの場でもある。

2008年12月26日金曜日

偽装連鎖

 2007年を象徴する漢字は「偽」であったが、2008年も残念ながら、その流れは断ち切ることはできなかったようだ。
 日本マクドナルドのサクラ騒動、ビックカメラの粉飾決算疑惑、いずれもお粗末すぎる。特に“デフレ時代の虎の子”と呼ばれる前者についてはこんなにも脇が甘いというのは失望。外食産業系やアパレル系にサクラ疑惑は数あれど、いずれもそこそこ節度があり「黒に近いグレー」でおさまっていたという印象であるが、今回のマクドナルドはリミッターを完全に振り切っている。たかだか新商品に数百人って、そんな求心力があったっけ?誰しも疑問に思うはず。フルキャストのような大手に大々的に募集したのと、自らの力を見誤ったのが今回の敗因であろう。
 海の向こうではMaddoff氏によるPonzi Schemeを使った巨額詐欺事件が話題となっている。被害リストには世界的に著名な投資家や投資銀行、Steven Speilbergらセレブなどなど、錚々たるメンツがずらりと並ぶ。好況時には集まった金を右から左へ出来ていたのが、この金融恐慌で回らなくなった、というのが真相であろう。不況下で、今後このようなケースが顕在化してくる可能性は極めて高い。

2008年12月23日火曜日

日本の闇

 今にして思えば、安部政権下の2007年5~6月は異常なくらいキナ臭い事件の連続であった。
 まず連休明けの①ペッパーランチ事件発覚に始まり、それを打ち消すような②長久手立てこもり事件、緑資源機構談合疑惑の渦中であった③松岡農相大臣の自殺、さらには④緒方元公安庁長官による朝鮮総連所有物件関係の詐欺とこの短期間に立て続けに起こった。コムスンやNOVAに対する業務停止命令、ミートホープによる食肉偽装発覚もこの時期である。
 そのうち、①~④は未だに闇勢力の関与が噂される曰くつき事件である。すなわち、①は捜査線上でかの国とのタブーに触れ幕引きせざるを得なくなり、②は①を打ち消すため起こされた自演的事件、③は第三者の介錯があった(現役閣僚の逮捕というもうひとつの最悪を避けるため?)とされ、④は公安の利益(すなわち監視対象を手元に置いておくための算段)を優先するがゆえ、元長官が捨石となった、という説がまことしやかに出回っているのだ。もともとタカ派の系譜にあり統一教会をはじめ各種カルト・裏勢力ともパイプが太いとされる安部晋三元首相、真実を闇に葬るのも当時の彼の力(バック)であればそう難しくはなかったのかも知れない。
 一国民としては、この時期に日本の法治国家としての限界を知り、それ以降、失望と猜疑心の連続である。
 

業界再編の波

少々古い話題を2本ほど

①三菱商事がイオンの筆頭株主に

 この大手商社系による小売業再編は誤算の産物(by 日経ビジネス)といわれる。すでに破綻の兆候が明らかなイオンの推進してきた「総合小売業・金融事業・不動産事業」三位一体型SCモデル。(まちづくり三法、貸金業法改正、さらに金融危機によりとどめを刺される) 彼らの過ちの出発点は欧米のような郊外型SC展開を日本でも志向した点(ある程度成果はあったと思われる)、そして加速させたのが外資の脅威に過剰反応し、不良債券の塊のような一昔前の小売チェーンを買いまくったことである。もう片方の雄、7&i がドメスティック市場に特化に執心し、ヨーカ堂、セブンイレブン、PRICEとセグメント別に体系立てた戦略を取っているのに対して、イオンはMaxValu、ジャスコと看板以外ほとんど違いがないブランドをグループ内に保有する。(これは一例であり、急な拡大戦略は他にも利益相反するブランドを抱え込む結果となった。)また同じモールでも「ららぽーと」ようにロケーション毎のコンセプトが明確ではなく、そこに土地があったからとりあえずおさえたとでもいわんばかりの場当たり的な開発が見え隠れする。(結果としてどこのイオンもサイズ以外に大した差異はない。)
 片や、三菱商事は大手商社の中でもM&Aに関しては慎重派。ローソンを傘下に持つ利点を生かした物流面での効率性、食の安全に関する高まりやグローバルネットワークを梃にした商材供給、海外展開等の面でメリットがあるとの読みが今回の引き金であることは確か。今回の決断は、商社等中間搾取を極力避け、低価格を実現してきたイオンの従来戦略とは対角をなす。イオンは先述の3つの柱のうち、まず小売業のビジネスモデルの転換を求められるのは必至。まずダイレクトに消費者に評価を仰ぐ分野から改革に踏み切ったとも言える。

②新日本石油による新日鉱の買収

 消費者サイドからすれば、JOMOとENEOSブランドの統合。石油業界にとってはこれほど世界経済に振り回された年もないであろう。原油価格の乱高下と各GSの仁義なき価格戦争のあとに残されたのは、淘汰された体力のない販売店の後処理問題と、「業転玉」による価格の仕切りという業界の構造的問題。後処理問題とは、汎用性が低くかつ貯蔵庫という時限爆弾(経年劣化による有毒物の漏えいの虞ある)を抱えたスタンドの跡地の取扱の問題。構造的問題とは、不要になったガソリン(製造過程で灯油等と同時に一定の割合で生産されるため需給バランスが取りにくい)を元売りが業者に転売、そして彼ら(いわゆる「業転玉」)が割安で販売することにより、価格戦争を主導する、という歪んだ構図である。一部大手元売りが卸値を「コスト積み上げ方式」から「市場連動方式」に変えたこと(それが今年だったのは最悪のタイミングであったといえる)も、販売店網の不信と壊滅に輪をかけた。今回の統合劇はコスト競争力で圧倒しなければ危ないという喫緊の思惑が合致した結果といえよう。
 すでに都心では車離れが進み、それを逆手にとりレンタカー拠点に業態転換を図ったしたたかな旧スタンドもあるようだ。この車離れの問題については近いうち別の機会に検証したい。

2008年12月21日日曜日

冬の日本海


 好天を利用して、冬の日本海側、その中でもいつか行こうと思っていた東尋坊についに行ってきた。東尋坊といえば、いにしえの悪僧・東尋坊が恋敵から突き落とされた(その後49日暴風雨が続いたという)のがその由来と言われるが、800年以上たった現世では奇勝景勝地のほかに自殺の名所という有り難くない称号を頂戴している。(年間40~50人がここで命を落とすらしい。)
 出発が遅かったこともあり、着いたのは夕暮時。結構IC(最寄は北陸道の丸岡IC)から遠い。途中、えちぜん鉄道(えち鉄)の無人駅や、昔栄えたであろう温泉街のスナックなど、うらぶれ感十分。極めつけは海岸線付近の木々にたむろするにカラスの大群(ここに住んで普段何を食っているのだろうか?と考えるとおぞましい)。この時期、この時間帯に行くと、その気がなくても充分すぎるくらい暗い気分になる。
 現地ではTV等でお馴染みの元警官の「おろし餅」の店や「電話ボックス」(ここでも首吊りがあったそうな)を確認。時間が時間だけに、人気もなくかなり寂しかったが、結局、電話ボックスや自殺防止の立て札等、人間の造作物がこの地をホラースポットに仕立て上げているのかな、というのが個人的印象。確かに柵も何もない切り立った岩場は危ないが、ただ単に草むらに腰をおろし、そこにぶつかる日本海の荒波を見ながらチルアウトできる場としの魅力は高く、変に人の手を加えられることや干渉を拒み続ける景勝地であってほしいとい強く願う。

2008年12月14日日曜日

The Planet Earth

劇場公開から約1年。待ちに待った『Earth』のDVD鑑賞。
 BBCエキスパートによる美しく壮大な映像は圧巻。今年見た中では文句なくNo.1の映画。どうやって撮影したのか、このショットを納めるのにどれほどの時間を費やしたのだろうか、と唸るような映像の連続。
 映画の中で、シロクマも、アフリカゾウも、オオカミも、カリブの大群も、ヒマラヤ越えを目指すツル達も常に生死を賭けて挑戦している。動物達が生きる姿を見ている、ただそれだけで感動できる映画。(作り手側の地球温暖化への警鐘メッセージはやや蛇足感あり) 特にラスト、セイウチ狩りに敗れ、満身創痍になりながら虚しく泳いで帰るシロクマの悲哀溢れる姿は、今年のグラミーものである。かくも美しくも切ないドキュメンタリーを一年間見過ごしていたのは非常に悔やまれる。

2008年12月13日土曜日

大阪考

2週間ほど前であるが、久々に大阪に行った時のこと。
 梅田界隈も大きなヨドバシカメラができ(通りすがりの大阪のおばちゃん曰く、「あった。ビッグヨドバシカメラや~」)、阪急と阪神が経営統合する(ビル自体にほとんど変わりは見られなかったが)など、ここ数年大きな変化の波がきているのを肌身に感じたが、昔と変わらぬ大阪らしさを発見できるのが、「新梅田食道街」。ここはもともと戦後間もない昭和25年、旧国鉄の退職者救済事業としてスタート(すなわち素人料理の店ばかり)、当初は18店(うち8店が現在も営業)、今では飲食店100近くのテナントがひしめき合う一大「大阪グルメのメッカ」へと成長した。
 多くの店がカウンターのみ、あるいは20坪前後の狭小店であるが、大阪名物お好み焼をはじめ、うどん・そば、カレー、おでん、串焼きなど、どれも美味しそうで入る店に迷う(結局はお好み焼屋さんをチョイス)。中には小じゃれたパン屋や、Prontoやマクドなど新興のチェーン店などもあり、そのマッチングの妙も面白い。
 大阪といえば、今年「食いだおれ太郎」が話題になったが、この「新梅田食道街」も、大阪の象徴としていつまでも我々を迎え入れる定点であってほしいものである。

P.S. 今回最大のサプライズは新大阪のホームで見た普通の人の倍はありそうな超長身の男。タダものではないと思ったが、案の定この男と判明。(翌日に大阪で試合予定あり)生の236cmはやはりインパクト充分!

2008年12月7日日曜日

新しいツールと費用

考察すべき対象がある時に、実際に起きた事象を元にするか、シミュレーションを立ててみるか。

前者を具現化するのがMINITAB、後者はCrystal Ballの機能である。

いずれも15万円超と個人には安い買い物ではない。

声の大きい者が勝つのではなく、数字で検証されたものが意味を持つ。

おまけ:物忘れ激しい昨今、非常に便利なWeb Page発見。(かのlivedoor提供によるM&A用語集なんていうのはBookOffの堀江本並に悪い冗談である。)