「マイ・ベスト・ミステリーⅢ」
日本推理協会会員たる作家陣達の自薦作品とお気に入りの他者作品をまとめたアンソロジー。本作は恩田陸、篠田節子、高村薫ら今をときめく女流作家が一同に会する超豪華版。(馳星周、山田風太郎らの作品も収録)
期待度一番の高村作品は枯れ過ぎ・短過ぎ、次いで期待の恩田陸作品は意味不明のお花畑調(私の想像力の欠如?)だった中、ナンバーワンは篠田節子『青い空』、次いで強烈な印象は岩井志麻子『魔羅節』。2作とも主人公が肉体的・性的暴力を受ける場面がハイライトであるが、描写があまりにも陰惨で救いがない。この残虐性は男性作家では出せない負のエネルギーが感じられる。
馳星周と山田風太郎は初読みながら、肩の力を抜いて楽しめる作品。馳氏と彼の選の大藪春彦氏など、普段手に取らないであろうジャンル(ハードボイルドというかチンピラもの)を垣間見ることができたのも、アンソロジーの醍醐味。
各作家の一押し作品も粒ぞろい。寿行)。夢野久作「瓶詰地獄」(山田氏推薦)、武田泰淳「ひかりごけ」(高村氏推薦)など超有名作品もあるが、お勧めは篠田氏推薦の西村寿行「痩牛鬼」(前出の「青い空~」はそのオマージュとなっている)。松阪牛用の牛にスポットを当て、日本の歪んだ食肉文化を炙り出した当作品は食肉業界関係者が見れば黙ってはおれない作品であろうが、読んでいるうちに、本当に私たちの食べているのは牛肉なのか?という疑念にかられるのは必至。
誰が誰をルーツに持っているのか、という点でもこの手の企画は非常に興味深い。
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