2008年11月30日日曜日

不況と政情不安

 Mumbuiでの武装勢力による同時多発テロとBangkokでの反政府組織PADによる空港閉鎖。
さらには、ソマリア沖ではサウジの原油200万バレルを積んだタンカーが海賊に乗っ取られ、ベネズエラでは原油下落を契機に、Hugo Chavezの政策(いわゆるオイルマネーによる貧困層、周辺国へのバラ撒き)が行き詰まり治安も悪化している。
 世界規模の不況景気と国際情勢の悪化は決して無関係ではない。例えば、インドのテロは国際社会が恐慌の影におびえ、Counter-terrorismが打ち出しにくい状況下で起きたともいえる。テロ組織とて一連の金融危機で資金集めが困難に陥るのは事業会社同様。解決策としては自作自演による戦争(=国家の増収理由)かプロパガンダを狙った行動で同士を募るか。時は第二次世界大戦前とさして変わらない。
 そして、急激な経済成長に足元(政治・教育・治安etc.)がついていけていない国にはかような不満分子がごまんといるとみてよい。この先数年は、先進国のみならず新興国の多くが、その成長の質と政治的指導力の真価を問われる時代になるであろう。

2008年11月25日火曜日

一年後の風景

 移ろいが激しいのはスポーツの世界の常であるが、伝統ある角界もそれは同様。
 今年の初場所は、謹慎明けの朝青龍と白鵬の両雄決戦で人気回復が予感されたが、今年も土俵外の事件に振り回され、結局危機的状況は変わらず。朝青龍も今年後半はケガ続きで進退の土俵際まで追い詰められている状況である。そんな中今年トリとなったのは、白鵬と安馬、これまたモンゴル勢同士の優勝決定戦である。初場所のあの熱戦を上回る2分超の大相撲、制したのは横綱・白鵬終わりよければすべてよし、というわけではないが、一縷の光が差し込む大一番であった。
 朝青龍に翳りが見えた今年、土俵を守ってきたのは紛れもなく白鵬、今年はまさに青から白への覇権交代の年であったといえよう。今年はモンゴルの世代交代(青白→白馬時代)のみであったが、来年こそ、日本人世代交代(特に高齢化大関陣の一新を!)で失墜した権威と人気回復の年にしてほしい。

2008年11月22日土曜日

USの落日

 Detroit Big 3に加え、No1バンクCitiも経営危機的な報道が流れ、金融恐慌はこれからがいよいよ本番突入か、という感をもって海の向こうではこのThanks Giving Holidayを迎えているところであろう。
 このままいけば、来年1月で資金ショートを起こすと云われるGMにとって、事業継続のためには国の支援は必須条件。他2社との合併交渉は難航し、ここにきて現実的解決法ではないとの見解が浸透してきている。対して、債権の保護を何よりも望む債権者達は、破産法の適用による会社清算を後押ししている。
 他方、Citiであるが、株価下落がとどまることを知らず、年初は$30付近であった株価がついに3ドル台に突入、ここ数日間はまさにAIGのデジャヴ的Free Fallの様相を呈してきている。こちらはGoldman SachsやMogan Stanleyとの合併も視野に入れて動き出しているようであるが、GSとの交渉は不調に終わったとの報道も伝え聞く。すでに5万人規模のリストラを発表したばかりの同社であるが、今後はさらなる事業の縮小・切り分けを余儀なくされるであろう。
 いずれも莫大な数の雇用を抱える2社。これらの命運が今後のUS、に与えるインパクトは図り知れないものがある。

2008年11月12日水曜日

WBC日本代表は?

遅ればせながら、渡辺久監督、日本一おめでとうございます。
久々に拮抗した面白い日本シリーズを堪能させてくれた両チームはやはりこの最後の舞台に立って然るべきであった、と思います。
 
 さて、球界はアジアシリーズを経て来年のWBCまでは基本的にストーブリーグとなりますが、最大の燃料になるであろうWBC選抜について、現時点でのベストメンバーをド素人ながら勝手に予想させていただきます。(投手13、野手15の計28人という前提で。あくまでも2008断面での評価が基準になってます。)

投 手
〈先発〉 松坂、ダルビッシュ、涌井、岩隈、和田、杉内
〈中継〉 岸、越智、山口
〈抑え〉 岩瀬、藤川、上原、斎藤隆

捕 手  城島、里崎、阿部
内野手  小笠原、新井、村田、岩村、松井稼、西岡、中島
外野手  イチロー、福留、青木、赤星、稲葉

スタメン 
⑨イチロー④松井稼⑤岩村⑦福留DH 新井③小笠原②城島⑥中島⑧青木

異論いろいろあることと思いますが…。  

2008年11月10日月曜日

理論株価

日経マネーより。
理論株価モデル
パラメータは基本的に
 ①売上
 ②総資産
 ③純資産(=Owners' Equity)
 ④時価総額
 ⑤発行済株式数
の5種類

理論株価 = BPS×PSR×Asset Turnover×Financial Leverage *
= 純資産/発行済株式数 × 時価総額/売上高 × 売上高/総資産 × 総資産/純資産

すなわち、売上財務バランスがキー。
*元々、株価=BPS×PER×ROE のPERとROEを分解した結果、利益は相殺され表に出なくなった

2008年11月8日土曜日

New World Order

①US from 2009

一大イベント Presidential Electionが終わり、新時代へ向けて滑走態勢に入ったUS。
 史上初の黒人大統領ということで話題に絶えないが、振り返れば変革の権化Obama、大筋は古き良きUSを代表するMcCain、さらに遡ればジェンダーの象徴であるHilary Clintonと今のアメリカを象徴である"diversity" を代弁する役者達が主導する極めてキャッチーな構図のドラマであった。(Pelinを投入したMcCainは従来の保守態勢からジェンダー一派の融合・迎合を図ったという見方が一般的) 
 この"diversity"の構図は年初から想定されたシナリオであったが、終盤大詰めに"recession"というサブストーリーが突如割り込み、Obama氏に神風を吹かせるというのは誰しも想定外だったであろう。
 このようなタフな状況下(US発の金融恐慌、それに派生する各国・各産業界の冷え込み)で来年頭の就任を迎える新大統領であるが、山積する経済問題に対して早くもadvisory との会合を開くなど、その滑走もいつになく全力である。かの会合もWarren Buffett、Eric Schmitt(GOOG)、Paul Volcker (Ex.FRB Chairman)とそうそうたるメンバーであったという。
 喫緊の話題は、自動車業界へ金融業界同様$700Bの支援を遂行するか否か。何でも推計約60万人の雇用が危惧される同業界は人的ボリュームから見れば、金融機関よりも遥かに"too big to fail"。そして、仮にこれを遂行するとなると次はどこの産業、ということになり大政府時代への引き金(とそれについてまわる国民の批判)となる可能性が十分にある。いずれにせよObama政権にとっては嵐の船出となることは間違いない。

②中東とSWFのその後

 今年初めは世界にその猛威を知らしめた産油国とSWF、が、かの金融恐慌は彼らをも危機に陥れているらしい。中でも高さ約1kmのタワーを目下建設中のDubaiが最大の危機に晒されているとか。金融危機とここ最近の原油価格の暴落がWパンチで湾岸諸国を襲っている現状…今回の危機は、はまさに安全圏などないことを知らしめられるニュースである。が、原油という変動の激しくかつ外需依存型の資源に頼ってきた経済モデルが基盤だったことを考えれば、決して驚くべき話でもないようだ。果たして、中東の雄が他の新興国同様、世界に救済を仰ぐのか、今後の動向に注目である。

2008年11月5日水曜日

ロシアの憂鬱

 RTS株価指数は年初来30%超の下落、「ヒトからモノへ」の流れに乗ってブラジルとともに浮上すると思われた(個人的妄想か?)BRICsの一角、ロシアが世界金融不安の煽りをモロに受けて苦しんでいる。
 主要因は以下3点か。
 ①原油価格の下落
 ②Georgia 侵攻など強行政策が生んだ国際摩擦
 ③ロシア人の伝統的な銀行不信(銀行に預金せず)。国内で還流しているcashの大半を諸外国が引き揚げた結果からcashが不足に。ロシアがこけたら、EU諸国、特に国の主要産業である自動車市場をのかなりの部分をロシアに依存しているドイツなどへの影響も大きい。
 ロシアの抱える苦境は半分以上は身から出た錆と思われるが、それだけに希望ももち得る。今この国に求められているのは、国際社会で孤立しないだけの外交政策・周辺政策、そして資源国から農業国への転換(温暖化により当国の農耕条件は良くなるかも)など産業構造の変換である。後者は不確定要素も多聞にあり判断が困難であるが、前者には期待したいせざるを得ない。特に、誕生したオバマ政権がプーチンとどういうスタンスで付き合うのか、がこの国の命運をに決するといってもよい。

威風堂々

『李歐』高村薫

 今更ながら、高村氏のデビュー作(を下敷きにした本書)を読んでいないことを恥じ、久々(約2年ぶり)に読んだ同氏の作品。ここ最近はそこそこの良書に出会っていたつもりであるが、やはり高村薫は別格である。ここまで小説の中で歴史と世界をバックにしたスケールの大きな大河ドラマを重厚に描ける作家はそう思いつかない。重厚というのは、つまり氏の好きな機械工場、公安の行確、(ソフトな)ホモセクシュアルなどゴシック的世界観が隋所に散りばめられ、読む者を飽きさせない手法である。本作では、スーパーマン華僑・李歐を通じてフィリピンの政変、ウォール街、ベルリンの壁と世界の激変を映していく一方、大阪の下町工場にいる主人公・吉田が定点観測的な役割を果たしている。
 と、ここまでは他の高村作品と大差はない。本作が異質であるのはハッピーエンドであること。もちろん途中、悲惨な死もあれば、そこに至るまでのプロセスも延ばしに引き延ばされている。それだけに意外なエンディングのカタルシスはひとしおである。非常に重みのある救済と希望。遅ればせながら、新たなマスターピースの誕生である。