2008年8月24日日曜日

人生とはゲームである

 この夏最後の貴志祐介、この夏最後のホラー、そしてこの夏最後のエンタメ系『クリムゾンの迷宮』。
 現在の著者の評価基軸になっているらしいことから、ぜひとも押さえておきたかったのであるが、一夜にして完読。巷の評判どおり全体を覆う印象は「バトルロワイヤル」meets 「SAW」。それでいてオリジナリティと知己に溢れている。何よりも嬉しかったのは昔ハマった"ゲームブック”がそのプロットに大きく寄与していたこと。これは自分と同世代ならノスタルジーに浸れること間違いないであろう。
 ゲームブック全盛の20年前、自分は知らず知らずのうちに人生のアルゴリズムを勉強していたのか。実際の人生は選択の連続である。食屍鬼(グール)こそ出てこないものの、時間的・体力的その他各種制約から取捨選択を迫られる場面の連続である。そして、最後に見るのはBad End, Happy End, True Endのいずれか。暴力が支配し荒唐無稽になりがちなこの種の物語にも、筆者はゲーム理論やサバイバルの心得(大事なのは①水②シェルター③暖④食糧とのこと)、そしてお得意の外来種生態などインテリジェンスを散りばめている。また、この手の物語が陥りがちな「人生の意味を再確認する」メッセージ一辺倒の単調さを、リスク管理(元保険会社勤務の性か)やルール・アイテムの持つ意味の再考など冷徹な視点をもつことにより忌避している。
 ゲームとリスク。悪鬼のみならず、この2つもこの夏の読書でフックされまくったキーワードであった。

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