2008年8月11日月曜日

永遠のテーマ

この夏、完全にはまってしまった貴志祐介氏の第3弾は、今年上梓されたばかりの『新世界より』。
上下合わせて1000頁超の大作であったが2日で完読。

 読後、支配しているのは現在の人類及びその活動の脆さと儚さ。何しろ2000年先の読者に向けた1000年後の物語なのだから。超能力・超自然的なものへの依存、種の保存、戦争、そして何より歴史の記録、などなどひとつひとつの人間活動を一種ありえない設定上の物語で問いただそうとしている。想起されるのは、「AKIRA」や「鉄コン筋クリート」(「悪鬼」のくだり)など。

 主人公は物語の中で、少女から女性、最後は中年にまでなるが、単なる強い正義感を持つうざいやつかと思いきや、最後の最後にブラックな側面を発揮。秩序に反して閉塞した状態にケリをつける。(これは「天使の囀り」のラストで冷凍保存の恐怖の線虫を手にした主人公の行動とダブる。)また、様々な生物が変異して人間を襲ったり、奇態を見せるのも面白い。(普段、筆者はどういう目で生物を見ているのであろう?)また、物語の中で重要な意味を持つ猫と鼠、それぞれ人間の駆除役と下僕として描かれるが、まさに油断してれば寝首をかかれる非常に身近に存在する危険である。
 こうして平和にBlogしている間にもロシアとグルジア、中国ウィグル自治地区など紛争の火種には事欠かない。彼らに限らないが、より多くの人類に千年先を想像する力があれば、世界は変わるのでは、と思ってしまう。

0 件のコメント: