2008年10月29日水曜日
Qちゃん引退
後半にグングン伸びていくピッチ走法、ゴールした後のさわやかな笑顔、思えば2時間強のマラソンに釘付けになったのはシドニー五輪が初めてだった。本人曰く「マラソンが楽しいということを伝えたい」、うん、十分すぎるほど伝わってきましたよ。(現にしがない市ラナーの私もQちゃんをイメージすると何kmでも走れるような気がした)その後も五輪金メダリストは出たが、パイオニアとしての彼女は、野茂・イチローらと同様、日本という枠を超えたまさにスペシャルな存在であったと思う。最後のレースとなった今年春の名古屋国際、沿道に駆け付けた多くのファンの声援を一番受けていたのは彼女だった。もう、女子マラソン界にこんなカリスマ性のある選手はなかなか出てこないだろう。心からお疲れ様、そしてありがとうと言いたい。
2008年10月26日日曜日
超絶美人たちによる愛憎劇
"The Other Boleyn Girl" ( 邦題:「ブーリン家の姉妹」)
Natalie Portman、Scarlett Johansson という現在のハリウッド2大看板女優の競演で話題の本作。基本的には史実ドラマであるが、実際にはもっと醜かったであろう愛憎劇を、姉妹役の冒頭2人の美貌と力演が高潔なドラマ風の仕立て上げている(それでも十分にドロドロさは堪能できるが)。十分に満足できる本作であるが、現実世界でドロドロのスカ・ヨハの純真無垢キャラには少々違和感あり。(個人的には以前見た彼女の魅力満開の"Match Point"(Woody Allen 06) の印象が鮮烈)
ドロドロが正視できない人なら、割り切ってゲーム理論的アプローチから本作を楽しむというのも一手。すなわち、王ヘンリⅧ世、国、姉、妹それぞれの行動パターンによる効用が見えてくる。(王と姉が結ばれれば、王と姉どちらかが満足するのみで国家はボロボロ、姉妹不仲も解消されず、王と妹なら王と姉は不満、国家は安泰etc.)
当時の国政がこんな男女の関係に左右されるほど基盤が弱かったのか、ヘンリⅧの女好きが特異なのか。ダイアナ妃事件、チャールズ皇太子の離婚そして再婚、と、数百年たった今でも英国皇室は醜聞のるつぼ、大衆の下世話な好奇心を満たす格好の材料として存在し続ける。その脈絡はここまで遡るのかと思うと奥が深い。
Natalie Portman、Scarlett Johansson という現在のハリウッド2大看板女優の競演で話題の本作。基本的には史実ドラマであるが、実際にはもっと醜かったであろう愛憎劇を、姉妹役の冒頭2人の美貌と力演が高潔なドラマ風の仕立て上げている(それでも十分にドロドロさは堪能できるが)。十分に満足できる本作であるが、現実世界でドロドロのスカ・ヨハの純真無垢キャラには少々違和感あり。(個人的には以前見た彼女の魅力満開の"Match Point"(Woody Allen 06) の印象が鮮烈)
ドロドロが正視できない人なら、割り切ってゲーム理論的アプローチから本作を楽しむというのも一手。すなわち、王ヘンリⅧ世、国、姉、妹それぞれの行動パターンによる効用が見えてくる。(王と姉が結ばれれば、王と姉どちらかが満足するのみで国家はボロボロ、姉妹不仲も解消されず、王と妹なら王と姉は不満、国家は安泰etc.)
当時の国政がこんな男女の関係に左右されるほど基盤が弱かったのか、ヘンリⅧの女好きが特異なのか。ダイアナ妃事件、チャールズ皇太子の離婚そして再婚、と、数百年たった今でも英国皇室は醜聞のるつぼ、大衆の下世話な好奇心を満たす格好の材料として存在し続ける。その脈絡はここまで遡るのかと思うと奥が深い。
2008年10月25日土曜日
さらに新しい形
『Q&A』恩田陸(2004)
前回、新しい形のミステリーと書いた同氏の作品であるが、時代は既にはるか先を行っているようだ。
全編対話形式で綴られる本書。ある大規模事故を中心にしながら、その手がかりとなる断片を端々に散りばめつつ、被害者の会代表と3流誌マスコミ、タクシー運転手と乗客、と次々とシチュエーションを変えながら、対話は続く。そして一見無秩序に見える対話は時系列で並んでおり、発生時から徐々に進んでいき約2年にかけて事件が完全に風化する過程を残酷なまでに描ききっている。
前回同様、今回も真相の周りをグルグルする話である。今年に入って未解決事件が多いが、そのもどかしさとどこかシンクロする。想像力で読む話である。
前回、新しい形のミステリーと書いた同氏の作品であるが、時代は既にはるか先を行っているようだ。
全編対話形式で綴られる本書。ある大規模事故を中心にしながら、その手がかりとなる断片を端々に散りばめつつ、被害者の会代表と3流誌マスコミ、タクシー運転手と乗客、と次々とシチュエーションを変えながら、対話は続く。そして一見無秩序に見える対話は時系列で並んでおり、発生時から徐々に進んでいき約2年にかけて事件が完全に風化する過程を残酷なまでに描ききっている。
前回同様、今回も真相の周りをグルグルする話である。今年に入って未解決事件が多いが、そのもどかしさとどこかシンクロする。想像力で読む話である。
2008年10月12日日曜日
マイルド・ミステリー
「ユージニア」 by 恩田 陸
初めての恩田氏作品。(今までずっと男性と思っていたら女性作家だった!)
ほぼ全編にわたって20年前の無差別毒殺事件の関係者のインタビュー形式の回顧録で埋められ、パズルのように組み合わせていくと謎解きをしていく構成にも見えるが、実はそれだけでは謎はあかされない、というシュールな作品。読者に蓋然性のみなら犯人をほぼ提示しているにも関わらず、物語ではそこまでたどり着かない。しかしながら不思議と消化不良さは残らない。そして事件は凄惨にもかかわらず、物語は全くその逆。人それぞれの美化された過去の記憶を再生したドラマを見ているような感覚。エンディングを読者に委ねた作品、という点では桐野夏生『柔らかな頬』を彷彿させる。氏の作品は、タイトルやテーマがいわゆる「ラノベ」っぽいので敬遠してたが、今後もこの壊れつつも心地よい世界観に身を委ねてみたい気がする。(この作品で恥ずかしながら「百日紅=さるすべり」が常識なのを初めて知った。)
初めての恩田氏作品。(今までずっと男性と思っていたら女性作家だった!)
ほぼ全編にわたって20年前の無差別毒殺事件の関係者のインタビュー形式の回顧録で埋められ、パズルのように組み合わせていくと謎解きをしていく構成にも見えるが、実はそれだけでは謎はあかされない、というシュールな作品。読者に蓋然性のみなら犯人をほぼ提示しているにも関わらず、物語ではそこまでたどり着かない。しかしながら不思議と消化不良さは残らない。そして事件は凄惨にもかかわらず、物語は全くその逆。人それぞれの美化された過去の記憶を再生したドラマを見ているような感覚。エンディングを読者に委ねた作品、という点では桐野夏生『柔らかな頬』を彷彿させる。氏の作品は、タイトルやテーマがいわゆる「ラノベ」っぽいので敬遠してたが、今後もこの壊れつつも心地よい世界観に身を委ねてみたい気がする。(この作品で恥ずかしながら「百日紅=さるすべり」が常識なのを初めて知った。)
登録:
投稿 (Atom)